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(3)書面添付推進活動前文の末尾参照)とした。今回の行動基準書第2版第2章倫理規定の部の第1番目にくる先験性の概念は、哲学者カントがその代表作『純粋理性批判』(Kritik der reinen Vernunft)の中でいった『先験的意識』(transzendentales Bewuβtsein)の直訳であり、それは文字通り『経験に先んずる意識』即ち、いまだ心の対象物が何も無い意識、別言すれば『無念無想の心』のことをいう、わけである。自分の心の中に、無念無想の心が現にあるのを発見して、その無念無想の心をさらに自覚的に培養していく。この無念無想の心こそは己が心の根源であり、その中には何の畏れも恐怖感もない、大宇宙と一体となっている自分の本当の姿が見えてくる。われわれが16年前、アメリカとドイツの職業会計人の水準を抜くと宣言した以上、この宗教的、哲学的体験を生活基盤としてゆく以外にないのである。この哲学的、宗教的体験の獲得に必要なのはただ瞑想の実行だけである。TKC会計人はここで、世界の最高水準に達する途が開けるのを知るのである。(10) TKC全国会は昭和56年より税理士法第33条の2による書面添付活動を開始しました。この活動は会員が巡回監査の誠実な実施により、税理士の責任を果たしたことを書面添付制度によって明示し、税理士に対する社会の期待と信頼に応えなければならないという信念で貫かれています。書面添付推進ツールとして、昭和57年の発行以来、継続的に改訂を重ね、現在の形態になった『TKC全国会による書面添付制度総合マニュアル』では、飯塚毅初代会長の前文(平成元年5月)に次のように記載されています。 日本の職業会計人の現状は、まことにお寒いものがあります。それは主として、その業務水準が、極めて低い、という点に現われています。どこと比べて低いのか、といえば勿もち論ろんそれは欧米先進国と比べてのことです。その原因は、どこに在るのでしょうか。私は、それは法律制度の未熟が、大きな原因をなしていると思います。特に会計についていえば、記帳義務者の範囲がはっきりしていない。真実を網羅的に記帳すべき点が正面から明確に義務づけられていない、職業会計人に故意に真実を告げなかった場合の刑事罰条項がない、不真実記録についての明白な罰条がない、脱税の未遂犯に関する条文の整備がない、記帳条件の精密化が計られていない、等々です。これは税法の国際化から見て、11

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