は、生涯研修制度の趣旨が次のように示されています。 われわれは今、日本の職業会計人の歴史を書き替えようとしております。それは職業会計人の生態と社会的権威の国際比較を土台として、日本の職業会計人の新しい進路を開こうとするものです。 90時間研修は、その第1関門であり、TKC書面添付推進事務所の選考基準の完全達成はその第2の関門であります。これによって、われわれは、99.99%の申告是認体制に迷わずに移行して参ります。 ドイツ税理士法が規定しているように、税理士は、国家と社会とから、尊敬され信頼されることを行動で示す責任があります。アメリカやイギリスの職業会計人は、公共の高い評価をかち取る対価として、生涯教育の強制体制を作りました。時代が急速に変化しつつありますので、かつて、高度の試験に合格したことがある、という歴史的事実だけによっては、われわれの生活と権威とは、守り切れなくなったのです。この研修は、日本の全会計人に開放されていなければなりません。 研修に参加される皆様に、特に銘記して頂きたいことは、会計人の独立性ということです。イリノイ大学のマウツがその『監査の哲学』で述べているように、会計人の独立性というものは、場合によっては、自分を委嘱した人が自分を解約する可能性がある場合でも、なお他人の意思には従属しないという態度の堅持を意味しており、他の自由職業には類例を見出し得ない特性をもつものです。 また会計人には圧力や誘惑が多いので、いかなる圧力や誘惑にも負けない精神の強さを鍛錬しておく必要があります。そのために、研修には、できるだけ禅寺等を利用させて頂き、禅のお師家さん方から、精神鍛錬のための講話や瞑想体験を与えて頂くように運んで参ります。それは決して、皆様に、禅宗の信者になったり坊様になったりすることを期待しているのではありません。人間としての自己の本質を徹見しておくことが、無限の英知を身につける最短距離だからなのです。(8)8
元のページ ../index.html#30