sample56363
3/52

i 先生の事務所が、TKC会計人という大集団の一員となられたことを、心から祝福申し上げます。それは第1に、先生の事務所が日本の職業会計人業界のなかで、もはや孤立した事務所ではなくなったことを意味します。TKC会計人は北海道の最北端の稚内から沖縄の最南端の石垣島まで、全国にわたって散在しており、先生の事務所を、血縁的関係において遇することを誓い合っています。先生と先生の職員諸君は、全国のどこへ行っても、TKC会計人から、同志としての温かい眼と心とをもって歓迎されます。事務所の看板や名刺には、TKC会計人であることを表示して、一目でそれと分かるよう、ご配慮下さい。 第2に、先生の事務所は今日から、躍進発展の一路を進み得ることを約束されています。それには、先発会員からの経験の吸収、TKCの根本理念の把握、先生の事務所の発展目標の設定(マックス・ウェバーはこれを「理想型の設定」“feststellung dem Idealtypus”といいました。Gesam-melte Aufsätze Zur Wissenschaftslehre S. 190)、とりわけ事務所発展の原理について、充分に理解をしておく必要があります。その場合に、最高に必要とされる条件は「信」ということです。孔子は「信なくんば立たず」と申しましたが、臨済宗の開祖である臨済義玄禅師は、もっと徹底した励ましの言葉を残しています。「汝が信、不藤す」(お前の信念が、まだふらふらしているから、今日このように迷っているのだよ)と、というのです。瞑想体験の無い人には、自分がふらふらしていることさえ分かりません。 この職業を展開するのに、絶対の信念をもって当たるか、それとも年中心底にふらふらしたものを抱えて臨むかは、先生の今後の運命を大きく左右するでしょう。人間は結局「いま」にしか生きられないのですから、この「いま」をどう生きるかが、勝敗の分かれ目となります。この点で昭和の初期に九条武子夫人が残してくれた歌は、先生の心に刻んでおいて頂く価値があると思います。ぶぎゆう及の故にこんにち葛かつとう序にかえて

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る