第1章 はじめに、飯塚毅初代会長がなぜTKCを創設したのか、どのような時代にどういう祈りをもって自ら行動を起こしたのかを確認します。 すべてのTKC会員にとっても原点といえる創業時の思いを、以下の飯塚毅初代会長の文章「TKC創設の思考過程と企業理念」から知ることができます。 それは昭和37年(1962年)9月上旬のことだった。アメリカのニューヨーク市で、第8回世界会計人会議が開催されることになり、その主会場は世界的に有名なワルドフ・アストリヤ・ホテルであった。私は全日本計理士会の添田会員(後の日税連会長)ら6人の代表たちと日本を立ち、まずサンフランシスコに着き、自分の昭和27年以来の顧問先であるアメリカン・プレジデント・ラインズ(APL)の本社を訪問し、重役連中との会議をもち、次いで、カナダのトロント市で、カナダ公認会計士協会の幹部たちとの交歓の後、ニューヨークに飛び、セントラル・パーク前のプラザ・ホテルに止宿して、世界会計人会議に出席した。 会議の真ん中に当たる日に、息抜きの為のゴルフなどの慰安日があった。好機逸すべからず、私は五番街のAICPA(米国公認会計士協会)本部に、当時の専務理事(後の副会長)のJ. L. ケアリー(Carey)氏を訪ね、4時間近く懇談した。焦点は米国の職業会計人を取り巻く社会環境やその対応策であった。ここで意外なことを2つ知った。1つは、全米7,000に及ぶ銀行がコンピュータによる財務計算の受託業務を開始し、職業会計人の職域が大々的に荒らされている、ということ。2つめは、銀行の介入によって、小規模会計事務所の関与21. TKC創設の理念TKC創設とTKC全国会結成
元のページ ../index.html#24