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職業会計人の独立性 アメリカにおける独立性概念の生成と展開

米国会計士の独立性概念を歴史的に検証し、職業会計人の独立性の今日的意義を解明した待望の1冊!

洋の東西を問わず、すべての職業会計人(税理士・公認会計士)が具備すべき基本条件「独立性(independence)」の概念が、どのように生成され、そして展開してきたのか─。
19世紀から始まるアメリカ公認会計士の独立性概念の歴史的な展開の過程を検証し、職業会計人の独立性概念を解明した著者渾身の書。


職業会計人の独立性 アメリカにおける独立性概念の生成と展開

価格:

8,250円 (本体 7,500円)

購入数:



著 者 坂本 孝司(税理士・米国公認会計士)
規 格 A5判696頁
発行日 2022年10月16日
ISBN 978-4-905467-62-5 C3034

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〔目 次〕

第Ⅰ部 独立性概念の生成
    -「財務上の利害関係」「二重の関係」「その他の関係および状況」


第1章 会計士の黎明期から1929年株式恐慌前夜まで
    -会計士業界の組織化と自主規制の推進

 第1節 はじめに
 第2節 アメリカにおける会計士の夜明け
  1.1888年にAAPAは会計士業界として最初の倫理規則を規定
  2.組織化の進展
 第3節 1900年代初頭の会計士業務 ─隆盛を迎えた会計士という職業
  1.一般的には不明確であった会計士と簿記係の区分
  2.会計士の立場は常に独立した立場である
  コラム1 法規制の「社会形成の内在的原動力-1909年法人物品税法における課税所得算定方法
 第4節 1910年代の会計士業界 ─組織化の推進と自主規制の強化
  1.倫理規則の拡充
  2.第1次世界大戦が始まる
  コラム2 信用監査と公共会計士 ─銀行のための信用監査(credit audit)が一般化されなかった理由
 第5節 1920年代、株式恐慌前夜の会計士業界 -「2つの立場」と「財務上の利害関係」に関するAIAの見解
  コラム3 アングロサクソン・モデルと「監査人の独立性」
 第6節 おわりに -本章のまとめ
  コラム4 共和党と民主党の政策

第2章 1929年株式恐慌から1930年代
    -SECがリーダーシップを発揮した時代

 第1節 はじめに
 第2節 1929年株式恐慌とその影響
  1.会計士の本当の依頼人は真実である
  2.独立性に関して問題提起された「二重の関係」
 第3節 1933年証券法の成立前夜 -NYSEが自主規制によって外部監査人を求めた
 第4節 1933年証券法・1934年証券取引所法の成立
  1.1933年証券法が独立公共会計士または公認会計士による証明を規定
  2.FTCによるRegulationの法的構造
  3.1934年証券取引所法が独立公共会計士による監査証明を要求
  コラム5 反証可能な法律上の推定
 第5節 1930年代のその後の展開 -AIAの決議とSECの規則との間のギャップ
  1.会計士業界の対応
  2.Regulationの改正
  3.SECが客観的尺度に関する規則を発効
 第6節 おわりに -本章のまとめ

第3章 1940年代におけるSECとAIAの攻防
    -客観的基準を強化するSECと精神的な独立性を強調する会計士業界

 第1節 はじめに
 第2節 第2次世界大戦勃発まで:SEC vs. 会計士業界
 第3節 第2次世界大戦勃発から1940年代末まで - 客観的尺度に関するSECの攻勢
  1.利益が相反する2つの依頼人に仕えることは疑わしい行為
  2.客観的基準に関するSECの攻勢
 第4節 第2次世界大戦終結から1940年代末まで -「事前規制」を強めるSECと、「事後規制」を貫くAIA
  1.会計プロフェッションと「シーザーの妻」
  2.2つの声明
 第5節 おわりに -本章のまとめ

第4章 1950年代から1960年代中頃におけるSECとAIA(AICPA)の攻防
    -攻めるSECと反転攻勢する会計士業界

 第1節 はじめに
 第2節 1950年代初頭から1950年代中頃まで
     -客観的基準を強調するSECと精神的態度における独立性を強調する会計士業界
  1.SECによる客観的基準に関する規制の強化
  2.イリノイ州公認会計士協会・ニューヨーク州公認会計士協会が動く
 第3節 1950年代中頃から1950年代末 -独立性に関する「客観的基準」をSECが数多く策定
  1.Regulation S-Xの規則2-01の改正
  2.SECによるASR第81号の発効
  3.『職業専門家倫理規程』のダブルスタンダード
 第4節 1960年代中頃まで -会計学者および会計士業界による論考
  1.独立性概念に対する会計学者による論究の始まり
  2.マウツ/シャラフによる『監査の哲学』
  3.1962年AICPA『職業専門家倫理規程』
  4.「外観的独立性」と「良識ある観察者」
  コラム6 SECによる「推定の前提事実」(客観的基準)の成文化
 第5節 おわりに -本章のまとめ


第Ⅱ部 独立性概念の展開 -監査業務と非監査業務の両立から対立まで

第5章 1940年代後半から1960年代まで
    -監査業務とマネジメント・サービスの両立に関する論争

 第1節 はじめに
 第2節 1940年代から1950年代 -監査業務とマネジメント・サービス
  1.GE社に最初のコンピュータを導入したアーサー・アンダーセン会計事務所
  2.マネジメント・サービスと税務業務に関する言及
 第3節 1960年代中頃まで -マネジメント・サービスに対する懸念
  1.会計学者による論究がはじまる ─マウツ/シャラフの見解
  2.会計士業界の対応
  3.研究者vs.会計士業界
 第4節 1960年代後半 -激しさを増す会計学者・SEC・AICPA間の論争
  1.コーエンSEC委員長による主張
  2.デヴォア委員会
  コラム7 会計事務所業界と金融機関との関係
 第5節 おわりに -本章のまとめ

第6章 1970年代
    -監査業務と経営助言業務の対立と論争

 第1節 はじめに
 第2節 SECコーエン委員会の設置まで
  1.独立性に対する批判の高まり
  2.AICPAによる『職業専門家倫理規程』の採択・独立性規則の大改正
 第3節 経営助言業務に関する規制強化を迫る議会とSEC
  1.SECによる規制強化と法律制定を求めるモス委員会
  2.メトカーフ小委員会「SECは独立監査人のMASに対して監視を強化すべきである」
 第4節 SECがASR第250号を発効 -委任状説明書における非監査業務の開示を強化
 第5節 コーエン委員会『最終報告書』が「期待ギャップ」を明確に認識
 コラム8 税務業務におけるアメリカの公認会計士の立場
 第6節 AICPAが「人(行政)による支配」としてASR第264号に反発
 第7節 おわりに -本章のまとめ
 コラム9 アメリカの税法の特徴

第7章 1980年代
    -非監査業務に関する会計士業界による自主規制

 第1節 はじめに
 第2節 1980年代中頃まで -共和党政権下で規制緩和が推進
  1.SECがASR第250号、第264号を廃止
  2.会計士業界の「隠れた敵」であった経営コンサルタント業界
 第3節 1980年代中頃から1980年代末
  1.アンダーソン委員会
  2.会計士業界による反論
  3.トレットウェイ委員会報告書とその後の展開
  4.『職業専門家行動規程』を採択(1988年1月12日)
  5.1980年代後半の展開
 第4節 おわりに -本章のまとめ

第8章 1990年代
    -非監査業務に関する会計士業界とSECの衝突

 第1節 はじめに
 第2節 レヴィットのSEC委員長就任
 第3節 会計士は財務の真実性の守護者である
 第4節 外観に基づく規制・ルール指向のアプローチを採用するSEC
  1.ホワイト・ペーパー
  2.レヴィットSEC委員長の挑戦
 第5節 おわりに -本章のまとめ

第9章 2000年初頭からエンロン事件前夜
    -非監査業務に関する会計士業界とSECとの全面衝突、そして一応の決着

 第1節 はじめに
 第2節 レヴィット委員長 vs. 会計士業界
  1.会計事務所業界が議会に援軍を求める
  2.大手会計事務所によるMAS部門分離の動き
 第3節 レヴィット委員長が独立性に関する新規制を提案
  1.新提案の内容
  2.議会とSECとの闘い
 第4節 SECの新しい独立性規則
  1.Regulation S-Xの規則2-01の改正
  2.新独立性規則の副作用
 第5節 おわりに -本章のまとめ


第Ⅲ部 独立性概念の現状 -エンロン事件から2020年代まで

第10章 エンロン事件から2020年代まで
    -サーベンス・オクスリー法と非監査業務

 第1節 はじめに
 第2節 サーベンス・オクスリー法の成立
  1.エンロン事件
  2.サーベンス・オクスリー法の成立
 第3節 サーベンス・オクスリー法が及ぼした影響
  1.「監査人の独立性に関するSECの要求事項の強化」の発効
  2,AICPAが『概念フレームワーク』を採択
 第4節 2010年から2020年まで
  1.独立性規則違反
  2.監査とコンサルティングビジネスとの間の潜在的な対立
  コラム10 ドナルド・トランプとSEC
 第5節 おわりに -本章のまとめ

第11章 監査人の独立性概念
 第1節 はじめに
 第2節 独立性概念の多様性と重層性
  1.規則の多様性
  2.「場の条件」と独立性概念
  3.「監査人の独立性」の全容と相互関係
  コラム11 「信頼性」に関する語とそれぞれの意味内容
 第3節 AICPAによる独立性概念
  1.精神的独立性と外観的独立性
  2.精神的独立性
  3.外観的独立性
 第4節 証券取引所法とSECによる独立性概念
  1.全容
  2.SECが求める「事実としての独立性」
 第5節 各規則における「外観的独立性」(AICPA)と「独立性規則」(SEC)との異同
  1.財務上の利害関係
  2.雇用関係
  3.事業上の関係
  4.非証明(非監査)業務
  5.成功報酬
  6.監査人のローテーション
  7.委任状説明書による開示
  コラム12 飯毅博士のニューヨーク大学講演「監査の新時代」(1990年10月)
 第6節 おわりに -本章のまとめ

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